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平滑筋の研究をするにあたつてどんな本を読んだらよいか
後藤 昌義
1
1九州大学生理学
pp.102-104
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902620
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平滑筋の研究といつてもその研究分野は細胞,組織のレベルから臓器に至るまで非常に広くかつ多岐にわたる。電子顕微鏡による微細構造の追求,ことに自律神経支配や筋々接合部の問題,また細胞膜,顆粒や収縮物質の問題にはじまり,これら平滑筋の構成要素の化学,収縮に際しての化学変化など,さらに各種臓器の特性に至るまで広範囲の研究領野があろう。他方,平滑筋の電気現象に関しても,超微小電極による細胞内電位の基礎的研究から細胞外誘導による「平滑筋筋電図」,ひいては臨床的研究に至るまでの広い研究分野があり,興奮発生から伝播,興奮・収縮伝関あるいは神経支配の影響,また各種臓器の特徴などが追求されつつある。これらに関連してさらに自律神経支配の様式や伝達物質transmitterの問題,また広く内分泌ホルモンや諸種薬物,温度,pH電気刺激など物理的諸因子の作用面も指摘できよう。
このように羅列してくると,参考にすべき文献もそれぞれの領野で誠に多様であり,研究者の関心の方向によつて非常に異なつてくることが考えられる。しかし全領野の文献を網羅することはほとんど不可能に近くまた無意味であるから,文末には生理学を主とした常識的かつ代表的著書ないし綜説を御紹介してお許しをこうことにしたい。
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