Japanese
English
特集 生体膜その3
平滑筋の生化学
Biochemistry of smooth muscle
野々村 禎昭
1
Yoshiaki Nonomura
1
1東京大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.285-293
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902596
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
平滑筋の生化学的研究の歴史は1940年代の無脊椎動物に対するMehl1)の仕事,哺乳類,ことに子宮筋に対するCsapó2)の仕事からはじまつたとすれば確かに20年そこそこという短かい歴史である。しかしこの20年間に生化学の諸領域のなした進歩を思い浮べてみると,この平滑筋の生化学の領域における成果の少なさにわれわれは驚かざるを得ない。むしろ,いま出発点に立つている領域である,といつても過言ではないだろう。これまでの研究量の少なさのために子宮筋を中心としたNeedhamのもの3,4)が出るまで総説らしいものがなかつたこの領域で,私のように自分の仕事をもたぬ者が総説など書けるはずがない。ただ私自身この領域の出発点にたとうとしている時,自分自身のためにも先人達の積み重さねた努力を,特に電子顕微鏡による平滑筋の微細構造の解明と結び合わせて最近の進歩をおぼえ書的にまとめてみたい。
Copyright © 1964, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.