Japanese
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特集 臓器(組織)とアポトーシス
ニューロン分化モデルとアポトーシス
The activation of caspases in the programmed cell death during nervous development
桃井 隆
1
Takashi Momoi
1
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第五部
pp.284-291
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902474
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[1]神経系でのプログラム細胞死
プログラム細胞死は遺伝的に制御された細胞死であり,核の縮小,分葉,ピクノーシスなどのアポトーシスに特徴的な形態をしめし1),その多くはDNA切断をしめすTUNEL陽性細胞として検出される2)。中枢および末梢神経系では,発生過程で多くの神経細胞がプログラム細胞死する3)。
中枢神経系に比べ,末梢神経系における神経細胞死はよく研究されてきた。末梢神経細胞のプログラム細胞死は標的細胞に依存しており,過剰に産生された神経細胞のうち,標的細胞との間にシナプス形成が成立しない神経細胞は標的細胞からの生存シグナルが得られず細胞死すると考えられている。実際,NGF,NT-3,BDNFなどのニュートロフィックファクターやそのチロシンキナーゼ型受容体であるTrkA,B,Cのノックアウトマウスでは,後根神経節(DRG)や三叉神経節などで大量の神経細胞のDNA断片化をともなう細胞死が観察される4)。一方,中枢神経細胞のプログラム細胞死は発生初期の増殖能をもった神経細胞およびその前駆体が細胞死するという報告5)と,発生の後期あるいは生後2-3週間で成熟した神経細胞が細胞死するという二つの異なった報告がある6)。
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