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特集 トランスポーターの構造と機能協関
細菌のアミノ酸トランスポーター
Bacterial Amino Acid Transporter
金森 睦
1
,
平田 肇
2
Mutsumi Kanamori
1
,
Hajime Hirata
2
1筑波大学医療短期大学部衛生技術学科
2姫路工業大学理学部生命科学科
pp.298-304
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901710
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生体膜におけるエネルギー変換の機構については,P.Mitchellにより提出された化学浸透圧説(chemiosmotic theory)1)によってその概要が明らかにされ,H+の電気化学的ポテンシャル(△μH+)が可逆的プロトンポンプ(H+-ATPase)を介してのATP合成に利用されるだけでなく,二次性能動輸送系においても駆動力となっていることが提示された。しかし,いかなる機構でこれらのエネルギー変換が行われているかという,共役機序の分子レベルにおける理解は現在でもまだ十分ではない。その最大の理由は,これらの輸送現象を担う輸送担体タンパク質の分子レベルでの解析があまりに不十分であることにほかならない。
このような二次性能動輸送現象の解明のために,それを担う分子的実体,すなわち輸送担体タンパク質の生体膜からの単離が古くから試みられてきた。しかし,一次性能動輸送体が内在的にもつATP水解活性や電子伝達反応,あるいは特有の色素など,通常の生化学的な反応測定が容易なタンパク質と異なり,二次性能動輸送坦体タンパク質は一般にこれらの酵素活性を保有せず,物質輸送という三次元的膜構造を要求する特殊な反応しか触媒しないため,生化学的な精製や精製タンパク質の機能活性の測定は困難を極めた。
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