Japanese
English
特集 プロテインキナーゼCの多様な機能
虚血による心筋内PKCアイソフォームの転移と病態生理学的意義
Intracellular redistribution of PKC isoforms in ischemic heart and its pathophysiological implication
吉田 謙一
1
Ken-ichi Yoshida
1
1山口大学医学部法医学教室
pp.281-286
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901588
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
ラットの心筋には4種類のPKCアイソフォームが発現しているが1,2),各々の生理機能は不明である。表1に示すように,心筋内には種々のPKC基質が存在する3)。PKCは一般に細胞質分画に多く存在し,各種のホルモン,神経伝達物質,サイトカイン,伸展などにより,例えばconventional(c)PKCαはCa2+,ジアシルグリセロール(DG)依存性に,novel(n)PKCδ,εはDG依存性に,atypical(a)PKCζはCa2+,DG非依存性に活性化され,膜分画などへ転移(translocation,redistribution)し,その基質をリン酸化する3)。従来生化学的には,組織や細胞のホモジネートを例えば100,000×g遠心上清(S)と沈殿(P)に分け,SからPへの転移を膜転移として,活性測定やイムノブロット法で検出していた4)。しかし,表1に示すように,PKCは形質膜のほか小胞体,ミオフィブリル,核の蛋白を基質とし,図2の免疫組織像に示すように核やミオフィブリルにもある。PKCはアドレナリン受容体などを介する心筋収縮力増強5)やアンジオテンシン受容体を介する心肥大化7)などにも関与していると信じられているが,生体内でどのアイソフォームがどの基質をリン酸化し,その機能を調節するかを明確に示した論文はない。例えば,虚血後PKCζが核へ転移したとすると,PKCζの基質は核にあると考えられる。
Copyright © 1998, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.