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特集 マトリックス生物学の最前線
自律的機能制御分子としてのフィブロネクチン
Fibronectin as an autonomic function regulatory molecule
深井 文雄
1
Fumio Fukai
1
1東京理科大学薬学部臨床病態学研究室
pp.295-300
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901207
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組織を構成する細胞は細胞外マトリックス(extracellular matrix;ECM)に囲まれて存在している。ECMは細胞を物理的に支持,固定するばかりでなく,細胞表層のインテグリン受容体を介して細胞の増殖,分化,移動などの様々な生物過程に積極的に関与することが明らかにされている。細胞接着分子の機能的重要さが指摘されるに伴って,接着分子とは逆に,接着を負に制御する反接着因子の存在がア・プリオリに予測され,実際,いくつかの反接着分子が見出されてきた。われわれは,代表的な細胞外マトリックスタンパクの一つであるフィブロネクチン分子内には,接着を促進する機能部位のみならず,接着を抑制する反接着部位も存在していることを見出した。フィブロネクチン分子は単独で細胞の接着を正にも負にも調節しうる自律的接着制御分子として機能している可能性が示されたことになる。
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