Japanese
English
解説
シグナル伝達分子三量体GTP結合蛋白質の構造と機能
The structure and function of signaling molecule, heterotrimeric GTP-binding proteins
仁科 博史
1
,
堅田 利明
1
Hiroshi Nishina
1
,
Toshiaki Katada
1
1東京大学大学院薬学系研究科生理化学教室
pp.229-235
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901197
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1994年のノーベル医学生理学賞は,“G蛋白質と細胞内へのシグナル伝達に果たすその役割の発見”により米国のA.G.GilmanとM.Rodbellに与えられた。Rodbellは1960~70年代にかけて,ラット脂肪細胞や肝臓の細胞膜標品を用いて,ホルモンがそのシグナルを細胞の内側に伝える機構を研究し,アデニル酸シクラーゼが活性化されるときに,ホルモンと直接結合する受容体とアデニル酸シクラーゼの触媒部位との間に,GTPと結合しシグナルの伝達器として働く蛋白質が介在する可能性をはじめて指摘した。Gilmanはその後1970年代後半から80年代前半にかけて,マウスリンパ腫由来の培養細胞変異株(アデニル酸シクラーゼの活性化に関与するG蛋白質[Gs]を欠損する)の特性を利用して,G蛋白質[Gs]をはじめて精製した。すなわち,Rodbellによって提唱されたG蛋白質の概念が,GilmanによるG蛋白質の精製とその性状の解析によって実証されたといえよう1)。
1980年代以降のG蛋白質研究における大きな展開の一つは,G蛋白質が介在するシグナル伝達経路の拡大にあったと考えられる。この研究の展開において,細菌毒素の触媒するユニークな修飾反応がさまざまな局面で利用された。
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