シリーズ最新医学講座・Ⅱ シグナル伝達・6
                        
                        
                
                  
                  
                  
                  
                            
                                    
                                    
                                    
                                    
                            
                            
                
                
                
                            
                            
                  
                            
                                
                            
                        
                
                
                
                            
                        
                
                
                            
                            
                            
                  
                            
                                    
                                    蛋白質分解シグナル伝達
                                    
                                    
                            
                            
                        
                
                
                            
                            
                                
                                    
                                        
                                            
                                                嘉村 巧
                                            
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                                                Takumi KAMURA
                                            
                                            1
                                        
                                        
                                        
                                        
                                            
                                        
                                    
                                
                            
                        
                
                
                
                  1九州大学生体防御医学研究所細胞機能制御学部門
                
                
                
                
                
                
                
                
                
                
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                pp.675-680
                
                
                
                  
                  
              
              
              
                  発行日 2003年6月15日
                  Published Date 2003/6/15
                
                
                
                DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100951
                
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- 1ページ目
はじめに
細胞内の蛋白質の発現量は,合成と分解によって規定されており,それぞれの蛋白質で緻密に調節されている.蛋白質分解機構には,①異常蛋白質や不要になった蛋白質の除去,あるいは抗原提示の際に働くユビキチン-プロテアソーム系,②細胞がアポトーシスに陥る際に動因されるカスパーゼカスケード,③エンドソーム内蛋白質を分解し,アミノ酸のリサイクルに働くリソソーム系,④細胞外からの刺激に応答してカルシウムによって活性化されるカルシウム-カルパイン系,⑤発生や形態形成に重要なADAM(A Disintegrin and Metalloprotease)ファミリーによるプロセッシング,の5つに分けられる.これらの細胞内蛋白質分解機構のなかで,ユビキチン-プロテアソーム系は,半減期の短い蛋白質群の発現量調節に最も寄与している機構の1つである.
ユビキチン-プロテアソーム系の役割は,大きく2つに大別される.第1の役割としては,特定の蛋白質を特定の時期に破壊することにより積極的に細胞機能を制御することであり,これにより,細胞周期,免疫応答,転写,DNA複製と修復,癌遺伝子産物の分解による増殖制御,抗原提示のための蛋白質分解など多くの生命活動の重要な局面に関与している.第2の役割としては,不要蛋白質を細胞内から除去するという,いわゆるゴミ処理機関として機能していることである.ストレス,環境変化,あるいは合成不良などによって生じた異常蛋白質は,速やかにこの機構を介して分解される.このように,ユビキチン-プロテアソーム系を介した蛋白質分解は細胞の生命活動の中心的役割を果たしているということができる.

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