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特集 プロテインホスファターゼ―最近の進歩
プロテインホスファターゼの局在
Localization of protein phosphatase
伊藤 正明
1
,
清水 啓之
1
,
中野 赳
1
Masaaki Ito
1
,
Hiroyuki Shimizu
1
,
Takeshi Nakano
1
1三重大学医学部第一内科
pp.156-161
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900902
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タンパク質リン酸化反応は,細胞内シグナル伝達機構として非常に重要で,増殖・運動・代謝調節・免疫応答など種々の細胞機能と関係して,多くのタンパク質が細胞内で可逆的リン酸化を受けることが知られている。タンパク質の脱リン酸化酵素(プロテインホスファターゼ)の基質特異性は,一つは酵素ならびにその基質の分子構造により決定されると考えられるが,試験管内で脱リン酸化を触媒することが証明されても,実際細胞内では脱リン酸化を触媒していないと考えられることにしばしば遭遇する。この理由の一つにその酵素の局在が関与し,タンパク質を細胞内において脱リン酸化させうるホスファターゼは,細胞内でその基質近傍に位置していることも重要と考えられてきている。すなわち,プロテインホスファターゼもプロテインキナーゼと同様に細胞の各状態に応じた局在をとり,これがその細胞機能の発現に重要であることが明らかになってきた1)。
プロテインホスファターゼは,セリンまたはスレオニンの水酸基に結合したリン酸の水解を触媒するセリン/スレオニンホスファターゼと,チロシンの水酸基に結合したリン酸を水解するチロシンホスファターゼに分類される。
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