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特集 神経科学の謎
注意は観測可能か
Can we observe attention?
彦坂 興秀
1
Okihide Hikosaka
1
1順天堂大学医学部生理学第一講座
pp.67-71
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900883
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注意は感覚情報を選択する機構である。われわれはその選択された情報にもとづいて行動をおこし,記憶を蓄える。そしてさらに,その行動や記憶にもとづいて注意による選択が行われる。この連鎖のなかで脳は適応し,自律性を獲得する。
これまでおおくの心理学者や生理学者が,注意のありかたとそのメカニズムを明らかにしようとしてきた。しかし,依然としておおくの疑問が残されている。注意によって感覚情報処理の何が変わるのだろうか―強さなのか1,2),速さなのか3-5)。情報処理のどのレベルに作用するのだろうか―知覚を利用する過程で注意による選択が行われる(Late selection)のか6,7),知覚そのものの成立に注意がはたらく(Early selection)のだろうか8,9)。意志によって注意をなにかに向けることもできるし,外界のできごとに注意がひきつけられることもある。これらは同じ注意といえるのだろうか10)。共通するメカニズムはあるのだろうか。注意の対象は何だろうか―空間なのか,「もの」なのか,その特定の属性なのか。
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