Japanese
English
特集 滑面小胞体をめぐる諸問題
SERと貧食胞
SER and phagosomes
木南 英紀
1
Eiki Kominami
1
1順天堂大学医学部生化学第一講座
pp.684-686
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900681
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貪食胞には細胞外からエンドサイトージスによって微生物や細胞の破片のような大きな顆粒を取り込むことによってできる貪食胞と,自己の細胞成分を取り込んでできる貪食胞がある。どちらの貪食胞もタンパク質をリソソームへ運ぶルート上にある。前者はマクロファージや白血球など特殊な専門の細胞が担当しており,貪食胞を構成する膜は細胞膜由来で,直接には小胞体と関連をもつことがないので,本項の議論から除く。
後者すなわち,自己貪食(Autophagy)には細胞質成分が二重膜のオートファゴソームにいったん貯えられた後,リソソームによって分解されるMacroautophagyと,リソソーム膜表面の陥入によって直接細胞質を取り込むMicroautophagyの二つの経路があるが,細胞蛋白の代謝回転にはMacroautophagyが最も大きく寄与していて研究も進み,通常自己貪食というと,Macroautophagyのことを指す。ラット肝の蛋白分解の速度は通常0.3-1.5%/時であり,絶食時で3-4.5%/時と促進される1)。この蛋白分解はリソソーム蛋白分解阻害剤存在下で強く阻害され,その割合はほぼ全体の60-70%と見積られている2)。蛋白代謝でリソソーム経由の蛋白分解の寄与が非常に大きいことを示している。
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