SCOPE
血球貧食症候群
貞森 直樹
1
1長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設内科
pp.2043-2047
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904751
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血球貧食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)は,骨髄などの網内系組織において著明に増殖した組織球が血球を貧食し,発熱,皮疹,リンパ節腫脹,肝脾腫などとともに,汎血球減少やDICを伴う症候群である.臨床経過は,急性かつ進行性で,多くの症例は致死的な経過をとり,予後不良である.
HPSの概念は,1939年にScottら1)がhistiocytic medullary reticulosis(HMR)として報告したのが最初で,その後Rappaportがmalignanthistiocytosis(MH)を提唱した.1958年にはFar,quharら2)が,家族発生したHPSを,familialhemophagocytic reticulosisとして報告した.1979年にはRisdallら3)が,ウイルス感染が原因と考えられるHPS症例を,virus-associatedhemophagocytic syndrome(VAHS)の名称で報告し,新しい疾患概念を提唱した.
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