検査データを考える
血球貧食症候群
河 敬世
1
1大阪府立母子保健総合医療センター小児内科
pp.365-368
発行日 2001年4月1日
Published Date 2001/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905782
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疾患概念・病態
血球貧食症候群(hemophagocytic syndrome;HPSまたはhemophagocytic lymphohistiocytosis;HLH)は,高熱持続,肝・脾腫などの症状に加え,汎血球減少,肝機能障害,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascularcoagulation;DIC),高フェリチン血症,高トリグリセリド血症などの検査所見を特徴とし,骨髄をはじめとするリンパ網内系での血球貧食細胞の存在により診断される症候群である.
本症候群には遺伝性(家族性,一次性)のものと反応性(二次性)のものが含まれる.遺伝性のものは常染色体劣性遺伝形式をとり,乳児に見られるまれな疾患であるが,致死的経過をとるので同種造血幹細胞移植の絶対的適応である.以前は家族歴がない場合の確定診断は困難であったが,近年,パーフォリン遺伝子が責任遺伝子であることが判明し,遺伝子診断が可能となった.二次性HPSは乳幼児から高齢者まで幅広く見られ,その予後もさまざまである.小児ではウイルスや細菌感染症に続発する例が多く,なかでもEBウイルス(Epstein-Barr virus)が関与する場合の頻度が高く,重症例が多いのが特徴である.一方,成人ではEBウイルス以外に悪性リンパ腫や自己免疫疾患に併発する場合が多い(表1).
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