特集 現代医学・生物学の仮説・学説
1.細胞生物学
生体膜
藤田 道也
1
1浜松医科大学生化学第二講座
pp.406-409
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900590
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概説
生体膜は(真核細胞の場合)細胞表面の膜(細胞膜あるいは形質膜)と細胞内部の膜(小胞体膜,ゴルジ装置膜,核膜,ミトコンドリア膜,その他の細胞内膜)に分けられる。核膜(正確には核包nuclear envelope)とミトコンドリア膜は内外の二膜からなる。どの膜も骨格として脂質重層lipid bilayerをもつ。脂質重層をつくっている脂質の主成分はリン脂質(おもにグリセロリン脂質,ミエリン鞘ではスフィンゴリン脂質)であるが,少数成分として糖脂質(スフィンゴ糖脂質)が含まれる。また,細胞膜にかぎりコレステロールがリン脂質と1:1のモル比で存在し,膜の剛性を高めている。膜を構成するまたは膜と会合したタンパクを膜タンパクmembrane proteinとよぶ。温和な界面活性剤で膜から溶出できないものをインテグラルプロテインintegral protein,溶出しうるものをペリフェラルプロテインperipheral proteinとよぶ。これらは操作上の定義であり厳密なものではない。
実体としてみれば,脂質層を貫通するタンパク(膜貫通タンパクmembrane-spanning protein:例,受容体,トロンスポータ,チャネル)はインテグラルプロテインとしてふるまう。
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