特集 カルシウムイオンを介した調節機構の新しい問題点
新しいカルシウム結合蛋白質:ビジニン(Visinin)
山形 要人
1
,
三木 直正
2
Kanato Yamagata
1
,
Naomasa Miki
2
1ジョンスホプキンス大学医学部神経科学
2大阪大学医学部第一薬理学教室
pp.245-246
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900565
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ビジニンvisininは,1983年に筆者らの研究室でニワトリ網膜に特異的な,24kDaの可溶性蛋白質として見いだされた1)。その特異抗体を用いた免疫組織化学的研究から,この蛋白質が種々の動物種の網膜錐体細胞(視細胞の一つ)に特異的に発現していることが分かった2)。また,ビジニンは視細胞の分化に伴い,その量が増加していくことから,光変換に関与していることが予想された。そこで筆者らは,ニワトリ網膜cDNAライブラリーを作製し,特異抗体を用いて,ビジニンcDNAをクローニングした3)。このcDNAは,192個のアミノ酸からなる,3個のEFハンドを持つ新しいCa結合蛋白質をコードしていた。ビジニンを大腸菌で作らせ,45Caブロティング法により,ビジニンがCa結合蛋白質であることも証明した。
また,ノーザンおよびin situハイブリダイゼーション法より,ビジニンmRNAが網膜視細胞層に特異的に発現していることが分かった。また,光受容機能を持つ松果体でもビジニン陽性細胞が見られ,その数が光刺激によって増加すること4)から,ビジニンは光変換に関与している新しいCa結合蛋白質であろうと結論づけた。
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