特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅰ.上皮細胞株
泌尿生殖器系上皮細胞
腎上皮細胞
ラット腎糸球体:SGE 1
沖垣 達
1
,
森藤 千晴
1
,
川口 真
2
1重井医学研究所
2兵庫医科大学小児科
pp.400
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900403
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■樹立の経緯
腎皮質は主として尿細管と糸球体から構築されている。いずれも上皮細胞を含むが,そのうち長期培養の可能な細胞株は大半が尿細管由来であって,血液の選択的濾過による原尿の産生に深くかかわる糸球体形成上皮細胞株はきわめて少ない。著者らは,試行錯誤を重ねた結果,1987年にラット正常腎糸球体から,上皮細胞株SGE 1を樹立した。命名は研究所名,糸球体,上皮細胞の各頭文字を取った。腎皮質から糸球体のみを分離するには,サイズの異なるメッシュの連続使用によってほぼ完全に尿細管を除去し,続いてトリプシン処理によって糸球体外覆のボーマン嚢を除去した。この方法で得られた糸球体表面には上皮細胞が露出しており,Ⅰ型コラーゲン塗布容器上で,上皮細胞は選択的に付着し増殖した。培養当初の培地は血清を含まないため,線維芽細胞の増殖をおさえることができた。SGE 1は若い世代で凍結保存されている。
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