Japanese
English
特集 血管新生
炎症部位における新生血管の特質
Characteristics of newly formed blood vessels in inflammatory sites
山下 昭
1
Akira Yamashita
1
1浜松医科大学解剖学第2講座
pp.227-231
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900345
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血管内皮は血管系の内壁を連続的に被う構造物であり,循環系からの代謝産物の搬出入,血小板機能の調節や血栓形成,凝固の調節など多彩な働きをしている。最近では,内皮は免疫応答と関連する各種の因子と相互作用を演じていることが明らかにされている。たとえば,インターフェロンが内皮細胞の増殖やIa抗原の膜発現を促進したり,そのIa+内皮がマクロファージ(Mφ)や樹状細胞とともにリンパ球への抗原提示能を発揮したり1),さらにMφによって産生されるIL-1やTNFが内皮細胞に作用し,表面のプロコアグラント活性を高めたり,白血球への接着能を高める2)。
内皮のその他の重要な免疫関連機能としては,リンパ球をリンパ組織や炎症の部位へ選択的に遊走させ,免疫応答を調節する作用がある。生体防御の主要なエフェクターであるリンパ球が,生理的状態においてたえず血液とリンパ組織との間を再循環する,いわゆるリンパ球の再循環現象(ホーミング現象ともいう)は,リンパ組織内に存在する特有な血管,すなわち高内皮性細静脈(high endothelial venules;HEV)を介して起こると考えられている。ところで,外来性抗原や起炎剤の作用により組織局所に惹起される炎症反応の部位においても,HEV様血管が出現し,リンパ球の局所浸潤をもたらしていることも見出されており3,4),最近,その機構と意義が注目されている。
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