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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅲ.代謝的に作用する薬物
代謝回転に作用する薬物
セロトニン神経毒
Serotonin/neurotoxin
長谷川 宏幸
1
Hiroyuki Hasegawa
1
1西東京科学大学バイオサイエンス学科
pp.504
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900276
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「概説」
セロトニン神経毒にはおもに二つのグループが知られている。一つは5,6-または5,7-dihydroxytryptamine(DHT)とその誘導体であり,もう一つはP-chloroamphetamine(PCA),3,4-methylenedioxymethamphetamine(MDMA),fenfluramineなどのアンフェタミン関連物質である。DHT類はセロトニン神経細胞に取り込まれてその細胞を破壊すると考えられている。その細胞破壊の機構については,細胞内における酸化反応において活性酸素を放出するためであるとの考えが有力である。DHT類は比較的特異性が高く,中枢におけるセロトニンニューロンの研究には頻繁に用いられる(Ann. N. Y. Acad. Sci.,Vol.305,1978に詳しい)。とはいえカテコールアミン神経にも影響が出るので使用に当っては注意を要する。一方,アンフェタミン類は初めは神経終末の貯蔵部位からセロトニンのみならずモノアミン類の遊離を促し,可逆的なセロトニン減少から,やがて神経線維の消失へと進む。MDMAは特異的かつ長期にセロトニン神経を変性する。セロトニン神経の神経線維を傷害していく機構についてはほとんどわかっておらず,現段階では,研究の道具としてよりはむしろ研究対象として,関心が寄せられている(Ann. N. Y. Acad, Sci.,Vol.600,1990に詳しい)。
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