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特集 生命現象を駆動する生体内金属動態の理解と展開
Ⅳ.金属を利用した新奇機能の創出と創薬への応用
バイオミネラリゼーションに学ぶ生体金属の機能と可能性
Potential and function of biometals learned from biomineralization
鈴木 道生
1
Suzuki Michio
1
1東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード:
アコヤガイ
,
炭酸カルシウム
,
バイオミネラリゼーション
,
基質タンパク質
,
キチン
,
キチン分解酵素
Keyword:
アコヤガイ
,
炭酸カルシウム
,
バイオミネラリゼーション
,
基質タンパク質
,
キチン
,
キチン分解酵素
pp.158-163
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201839
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生体を構成する生体分子の主成分は水と有機物である。しかしながら,水と有機物だけでは多くの生体反応を進めることはできず,様々な無機元素が重要な役割を担っている。特に,生体の保護,保持,ミネラルの貯蔵のための生体鉱物化現象(バイオミネラリゼーション)では,多量の無機元素を局所的に沈着させることが知られている。例えば,ヒトの歯や骨はリン酸カルシウム鉱物で形成され,甲殻類や貝類の殻は炭酸カルシウムで形成される。また,バクテリアには酸化鉄の粒子を沈着させるものや,藻類や海綿はシリカから成る骨格を有する。このようなバイオミネラリゼーションの形成においては,特殊な有機物が鉱物沈着を制御することで,緻密で高機能な構造を実現していると考えられている。
このなかでも,炭酸カルシウムのバイオミネラルは地球上のバイオマスとしても最も多く,また炭素循環の観点からも注目されている。本稿では,わが国で真珠養殖に利用されるアコヤガイをモデルに(図1A),炭酸カルシウムのバイオミネラリゼーションについての研究と,応用の可能性についての研究を紹介する。
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