Japanese
English
特集 生命現象を駆動する生体内金属動態の理解と展開
Ⅲ.金属種の置換によるタンパク質機能の新たな制御
モリブデン中心を代替する生命金属
Alternative biometals to molybdenum catalytic centers
藤枝 伸宇
1
Fujieda Nobutaka
1
1大阪公立大学大学院農学研究科
キーワード:
タングステン
,
バナジウム
,
モリブデン貯蔵タンパク質
,
バーチ還元
,
フィッシャー・トロプシュ反応
Keyword:
タングステン
,
バナジウム
,
モリブデン貯蔵タンパク質
,
バーチ還元
,
フィッシャー・トロプシュ反応
pp.153-157
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201838
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
生命金属のうち,モリブデンは前周期の遷移金属であり,鉄や銅などの後周期の遷移金属とはかなり性質が異なっている。そのため,水中でオキソ酸の状態で存在し,取り込み,貯蔵,酵素への導入など,カチオン性の後周期遷移金属とは全く異なることが知られている。類似の生命金属としては,バナジウムやタングステンがあり,そのオキソ酸,バナジン酸,モリブデン酸とタングステン酸は互いに物理化学的性質が類似している。特に,モリブデン酸とタングステン酸は分子半径までほぼ同じであり,「生命がなぜ,どのように識別および使い分けをするのか」という疑問は,この分野においてライトモチーフになりつつある1)。
本稿では,酵素におけるモリブデンとタングステン,更にはバナジウム中心の性質,取り込み,置換について触れ,この問いに対する答えを部分的にではあるが述べたい。
Copyright © 2024, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.