増大特集 現代医学・生物学の先駆者たち
Ⅱ.生化学・遺伝学
西塚泰美(1932-2004)—プロテインキナーゼCの発見
高井 義美
1
Takai Yoshimi
1
1神戸大学大学院医学研究科
キーワード:
シグナル伝達
,
プロテインキナーゼ
,
カルシウムイオン
,
細胞膜
,
リン脂質
Keyword:
シグナル伝達
,
プロテインキナーゼ
,
カルシウムイオン
,
細胞膜
,
リン脂質
pp.398-399
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201036
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- 文献概要
筆者は,医学部の3年生のときに生化学の講義で西塚泰美先生と初めて出会った。1970年ごろである。当時生化学の多くの研究成果に対してノーベル生理学・医学賞が与えられており,西塚先生の生化学の講義ではこれらの偉大な仕事がどのようにしてなされたかという歴史も話された。西塚先生は学問の楽しさ,学問の独創性や実験結果の再現性の重要性,プロの学者の考え方や姿勢などについても学生に熱く語られた。流行を追うのではなく流行を作るような仕事をすれば君たちもノーベル賞を受賞できると学生に夢を与えられた。西塚先生のこのような情熱的な講義に,筆者や多くの学生が魅了され,筆者は西塚研で学生時代から研究を開始したが,他の多くの学生も卒業後学問の道に進んだ。西塚研ではこの先生のお考えに従って研究が進められ,その結果プロテインキナーゼC(PKC)が発見された。
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