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特集 進化と発生からみた生命科学
進化発生学で探る哺乳類中耳の形態進化
Evo-devo study of the mammalian middle ear
武智 正樹
1
,
北沢 太郎
2
,
栗原 裕基
2
,
倉谷 滋
3
Takechi Masaki
1
,
Kitazawa Taro
2
,
Kurihara Hiroki
2
,
Kuratani Shigeru
3
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子発生学分野
2東京大学大学院医学系研究科生化学・分子生物学講座
3理化学研究所倉谷形態進化研究室
pp.234-239
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200161
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哺乳類は地球上の多様な環境へ適応放散した動物群の一つであるが,この成功の一因には頭蓋顎顔面領域の形態進化がある。哺乳類の頭蓋顎顔面領域は,鼻腔と口腔を仕切る二次口蓋,一枚骨から成る下顎,三つの耳小骨を有する中耳など,他の動物群にはみられない独自の形態と機能を獲得しており,これらが咀嚼力の向上,効率的なエネルギー代謝,内温性の獲得といった多様な棲息環境への適応能力と密接にかかわっている。哺乳類の獲得形質がいかに進化してきたのかについてはまだ謎の部分が多いが,これまでの比較解剖学,比較形態学,古生物学などの知見に加えて,現生動物同士の分子発生学的な比較解析,いわゆるEvo-devo領域での研究が進みつつある。ここでは一例として中耳の形態進化を取り上げたい。
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