増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:1回膜貫通型◆受容体の遺伝子:ICAM5
ビトロネクチン受容体としての終脳特異的接着分子テレンセファリン
吉原 良浩
1
Yoshihara Yoshihiro
1
1理化学研究所 脳科学総合研究センター シナプス分子機構研究チーム
pp.484-485
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101527
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●終脳特異的樹状突起性細胞接着分子テレンセファリン(TLCN)
1.構造 TLCNは免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーに属するⅠ型膜蛋白質であり,アミノ末端のシグナルペプチド,九つのIgドメイン,細胞膜貫通領域,約60アミノ酸の細胞内領域,で構成されている1)。TLCNのIgドメインは,免疫系での細胞間相互作用において重要な機能を担うIntercellular adhesion molecule(ICAM)-1,-2,-3,-4と非常に高い相同性を示す。TLCNは神経細胞に発現する唯一のICAMファミリー分子であり,ICAM-5とも呼ばれている。
2.発現 TLCNの発現の特徴を,マクロからミクロな視点で眺めていくと以下のように要約される。① 終脳セグメント特異的な発現,② スパインを有する神経細胞に特異的な発現,③ 樹状突起選択的な局在。① と ② は転写レベルでの調節によるものであり,TLCN遺伝子転写開始点から上流1.1kb以内に発現調節エンハンサーが同定されている。③ については,TLCN蛋白質細胞内領域のC末端(17アミノ酸)が樹状突起選択的ソーティングモチーフとして機能する2)(図A)。
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