増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:7回膜貫通型◆受容体の遺伝子:AVPR2(V2R)
バソプレシン2型受容体の突然変異に起因する疾患
佐々木 成
1
Sasaki Sei
1
1東京医科歯科大学医歯学総合研究科 腎臓内科学
pp.394-395
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101482
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●バソプレシン2型受容体(V2R)
抗利尿ホルモンであるバソプレシンの受容体は3種類の異なったタイプ(V1a,V1b,V2)が存在し,7回膜貫通性のG蛋白質結合受容体(GPCR)スーパーファミリーに属し,互いに40-50%の相同性を示す。V2R蛋白質はアミノ酸371残基からなり分子量は40.5kDaである。N端は細胞外に,C端は細胞内に存在し,C端側には幾つかのリン酸化部位が存在する(図1)。V2Rは主に腎臓の集合管に存在し尿濃縮に必須の働きをする1)。
図2に示すように,バソプレシンは集合管主細胞の側底膜に存在するV2Rに結合し,V2RのC端側に結合するG蛋白質(Gs)を活性化する。活性化されたαサブユニット(Gαs)はアデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化し,細胞内cAMPを増加させる。そしてcAMPはプロテインキナーゼAを活性化させる。AQP2は腎集合管の管腔膜に特異的に存在する水チャネルであり,ここでの水透過性を決定している。AQP2はプロテインキナーゼAによって直接リン酸化される蛋白質であり,このリン酸化が引き金になってAQP2は細胞内の貯蔵小胞から管腔膜へ移動し水透過性を増加させ,尿濃縮を亢進させる2)。
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