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特集 特殊な幹細胞としての骨格筋サテライト細胞
骨格筋サテライト細胞研究の背景
Background of Research on Muscle Satellite Cell
橋本 有弘
1
Naohiro Hashimoto
1
1国立長寿医療研究センター研究所 再生再建医学研究部
pp.98-104
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101420
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昨年(2012年),ロンドンオリンピックが開催された。テレビニュースでアスリートたちの激しいトレーニング風景を目にされた方も多いことだろう。適度な負荷を与えることによって筋力が増強するという現象を,誰もが当然のことと受け止めている。筋力の増加は筋量の増大に依存し,筋量の増大は骨格筋細胞系譜の最終分化細胞である筋線維の体積増大(肥大)と細胞数の増加に依存している。しかし,どのような仕組みで筋線維が太くなり,あるいは新たに形成されるのかについて,われわれが理解できているのは,いまだごく一部にすぎない。
骨折が直った後,ギブスを外してみて,筋肉がすっかり痩せ衰えてしまったのに驚いた,という話を耳にされたことはないだろうか。寝込んでしまった老人が,寝ている間に筋肉が痩せ衰えてしまい,ケガは治ったのに歩けなくなることがある。また,宇宙ステーションから地球に帰還した宇宙飛行士は,筋力を回復するために,ときには何か月にもわたるリハビリテーションを必要とすると言う。なぜ,筋肉は使わずにいるだけで細く弱ってしまうのだろうか。今日においても,このような骨格筋に関して誰もが知っている経験的事実(現象)と,われわれの理解との間には大きな隔たりがあると言わなければならない。
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