特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
3.ゴルジ体
トランスゴルジネットワークに局在するSNAREの役割
植村 知博
1
,
中野 明彦
1,2
Tomohiro Uemura
1
,
Akihiko Nakano
1,2
1東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻
2理化学研究所 基幹研究所
pp.412-413
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101334
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●トランスゴルジネットワーク(TGN)とは
トランスゴルジネットワーク(trans-Golgi network;TGN)は,ゴルジ層板のトランス槽側に存在する網目状の構造体であり,小胞体で合成されたタンパク質がゴルジ体へ運ばれた後,最終目的地(細胞外への分泌や細胞膜・液胞など)に向けてタンパク質の選別を行う,膜交通において重要な分岐点となる区画であると考えられている1)。TGNはゴルジ体の一部であると考えられてきたが,近年,ゴルジ体とは独立した別のオルガネラであるという考え方も浮上している。植物においては,TGNは初期エンドソーム(early endosomes)としての機能を持つことも明らかになっている2)。そのため,TGNが果たす機能は極めて多様であり,生物種によっても特殊化している可能性があるが,その詳細な機能や高次機能ついては未解明な部分が多いのが現状である。
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