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特集 筋ジストロフィーの分子病態から治療へ
骨格筋内在性の間葉系前駆細胞
Mesenchymal progenitors in skeletal muscle
上住 聡芳
1
,
深田 宗一朗
2
,
土田 邦博
1
Akiyoshi Uezumi
1
,
So-ichiro Fukada
2
,
Kunihiro Tsuchida
1
1藤田保健衛生大学 総合医科学研究所 難病治療学部門
2大阪大学大学院 薬学研究科 細胞生理学分野
pp.157-160
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101133
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ジストロフィン欠損を原因とするDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)では,筋再生を上回る筋壊死が進行し,筋組織はやがて脂肪組織によって置換されてしまう。骨格筋に形成された異所性の脂肪組織は筋力低下の要因となるばかりでなく,筋細胞への栄養素供給の妨げとなり病態の進行に寄与し,さらには治療物質(遺伝子治療における導入遺伝子や細胞移植治療における移植細胞など)の筋細胞への到達を妨げ,治療効率を低下させるとも考えられ,解決しなければならない問題である。異所性の脂肪組織がいかにして生じるか不明であったが,筋再生を担う筋衛星細胞の分化異常により発生することが示唆されてきた。しかし,われわれは最近,骨格筋間質に筋衛星細胞とは異なる間葉系前駆細胞を同定し,この細胞が骨格筋内に見られる異所性脂肪組織の起源となることを突き止めた。また,筋ジストロフィーでは骨格筋の線維化も顕著であるが,間葉系前駆細胞が線維化にも寄与することが明らかになってきた。この新たに見出された間葉系前駆細胞の特性と,間葉系前駆細胞を標的とした筋ジストロフィー治療の可能性について紹介する。
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