Japanese
English
解説
mRNAの核外輸送と細胞内局在化機構
Molecular mechanism of nuclear export and cytoplasmic localization of mRNAs
片平 じゅん
1,2
,
米田 悦啓
1,2
Jun Katahira
1,2
,
Yoshihiro Yoneda
1,2
1大阪大学大学院 生命機能研究科 細胞ネットワーク講座
2大阪大学大学院 医学系研究科 生化学・分子生物学講座
pp.69-74
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101109
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真核生物では,転写の場である核とタンパク質翻訳の場である細胞質が核膜により物理的に隔てられている。そのため,転写されたmRNAの核外輸送は遺伝子発現において必須の過程となる。また,ある種の遺伝子のmRNAは核外輸送された後ただちに翻訳されるわけではなく,翻訳の鋳型として不活性な状態に保たれたまま細胞質内の適切な場所へ輸送され,適切なタイミングで活性化され,翻訳される。近年の研究から,mRNAの核外輸送,局在化の各過程は核内における転写やプロセシングの過程において結合するmRNA結合タンパク質の働きにより制御されることが明らかにされつつある。核内で結合したタンパク質が特定のmRNAを標識する“分子タグ”として機能し,細胞質における遺伝子発現の諸過程にも影響するのである。本稿では,mRNAの核外輸送,細胞内局在化の分子機構について,転写やスプライシングといったmRNAプロセシングとの共役機構を中心に概説する。
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