特集 シナプスをめぐるシグナリング
12.脂質ラフト関連
BAALC 1-6-8 proteinはカルモジュリンキナーゼⅡα subunitのターゲティングに関与するか
鈴木 龍雄
1
Tatsuo Suzuki
1
1信州大学大学院 医学系研究科 加齢適応医科学系独立専攻 神経可塑性学分野
pp.514-515
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101069
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Brain and acute leukemia,cytoplasmic(BAALC)遺伝子は,急性骨髄性白血病(AML)患者の遺伝子解析中に発見された。BAALCは神経外胚葉由来の組織や造血系の前駆細胞,急性白血病細胞にのみ発現することが知られている特異な分子である1)。また,ヒトの造血系全区細胞のマーカーとして知られる1,2)。このタンパク質はほ乳類とゼブラフィッシュで高度に保存されているが,下等動物では見られない。急性白血病での発現は悪性度の指標とされ,臨床的には予後の悪性度と相関がある。タンパク質化学的な性質については発見以来,全く研究されておらず,構造上にも特徴的なドメインやモチーフも知られていなかった。脳のBAALCタンパク質についての研究報告は筆者の研究グループにより2005年にはじめてなされたが3),それ以降には2010年に関連報告がなされた(筆者らとの共同研究)。ここでは,主にBAALC 1-6-8の性質について述べる。臨床的に大きな意味を持つ急性白血病との関連については他の文献を参照していただきたい。
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