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特集 ユビキチン化による生体機能の調節
F-boxタンパク質による細胞周期制御と発癌
F-box proteins:cell-cycle control and cancer
武石 昭一郎
1
,
中山 敬一
1
Shoichiro Takeishi
1
,
Keiichi I. Nakayama
1
1九州大学生体防御医学研究所細胞機能制御学部門分子発現制御学分野
pp.585-592
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100951
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細胞周期はサイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase:CDK)の周期的な活性化により進行するが,このCDKの活性はその制御サブユニットであるサイクリンやサイクリン-CDK複合体に結合してその活性を阻害するCDK阻害タンパク質(CDK inhibitor:CKI)などの量的調節によってコントロールされている。これら細胞周期を調節する因子の量的調節機構は,その多くがユビキチン化依存性タンパク質分解によって行われている1)。特にSkp1-Cul1-F-box-protein(SCF)複合体とanaphase-promoting complex/cyclosome(APC/C)という二つのユビキチンリガーゼ複合体は,多くの細胞周期制御因子のユビキチン化を担っている。このタンパク質分解システムの破綻は,制御不能の細胞増殖やゲノム不安定性を引き起こし,最終的に発癌に至ると考えられている。実際に多くの臨床知見から,細胞周期制御因子のユビキチン化の異常と発癌との関連性が示されている。つまり,このユビキチン化の分子機構を理解することが,細胞周期制御メカニズムの解明や抗癌剤の開発にとって必須であることは疑いない。
本稿では誌面の都合上,細胞周期に関わる三つのSCF複合体型ユビキチンリガーゼを取り上げるが,それ以外のユビキチンリガーゼと発癌の関係に関しては,別の総説を参照いただきたい2)。
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