Japanese
English
特集 睡眠と脳回路の可塑性
覚醒時の神経活動の睡眠中のリプレイ
The replay of behaviorally induced multi-neuronal firing patterns during the subsequent sleep
龍野 正実
1
Masami Tatsuno
1
1Department of Neuroscience, Canadian Centre for Behavioural Neuroscience, The University of Lethbridge
1Department of Neuroscience,Canadian Centre for Behavioural Neuroscience,The University of Lethbridge
pp.285-294
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100856
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私たちは,一日のうちの四分の一から三分の一の時間を睡眠に費やしている。睡眠は疲労の回復に必須であり,十分に睡眠を取らないと翌日に眠くて仕事に集中できないという経験は誰もが持っているであろう。ところで,睡眠は疲労を回復する以外にも何か重要な機能を担っているのであろうか。近年の神経科学研究の発展はこの睡眠の機能に新しい光を投げかけつつあり,特に記憶との関係が注目を集めている。
本稿ではまず,覚醒時に観察された神経活動がその後の睡眠中に再生される現象を紹介し,関連する話題として多電極記録技術や記憶固定化の仮説について解説する。また,睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という二つのステージに分類されるが,それぞれにおける海馬の神経活動の特徴を紹介し,リプレイの違いについて議論する。さらに,大脳皮質におけるリプレイについても最近の知見を簡単に紹介し,記憶の固定化に対するレム睡眠,ノンレム睡眠の役割について検討する。
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