Japanese
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特集 感染症の現代的課題
ワクチンで防御可能なウイルス性疾患―麻疹,風疹,おたふくかぜ
Vaccine preventable diseases: measles,mumps,rubella
加藤 篤
1
Atsushi Kato
1
1国立感染症研究所ウイルス第三部
pp.138-144
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100837
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今のわが国では戦後の荒廃は遠い過去のものとなり,衣食住,上下水道,医療などの公衆衛生上の社会的基盤が整い,健康な生活を送ることがあたりまえの時代になった。そんな中,2007年春に起った麻疹(はしか)の発生による大学休講のニュースは記憶に新しい。そこで本稿では感染症の現代的課題として“なぜ今,大学生に麻疹が?”を理解するために予防接種について考えてみよう。
さて,戦後しばらくは衛生環境が悪く,シラミが媒介するリケッチアを原因菌とする発疹チフスの発生を防ぐため,進駐軍が持ち込んだ有機塩素化合物DDTの白い粉を頭から降りかけられるような状態であった。そのような状況を鑑み,終戦から3年後の1948年にGHQの強い関与のもと感染症対策として予防接種法が制定され,12の疾病が予防対策対象になった(図1)。その後,法は幾度も改正され,2007年の改正により,現在ではその対象疾患はジフテリア,百日咳,破傷風(以上3種混合DTPおよび2種混合DPワクチン),麻疹,風疹(以上2種混合MRワクチン),ポリオ,日本脳炎(ただし北海道を除く,また現在は積極的勧奨は停止中),インフルエンザ(65歳以上の者,毎年1回),結核(BCGワクチン,生後6ヵ月に至るまでの者1回)の9の疾病となっている。
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