Japanese
English
特集 ニューロンと脳
海馬におけるシータリズム位相コードと記憶
Theta phase coding and memory in the hippocampus
山口 陽子
1
Yoko Yamaguchi
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター創発知能ダイナミクス研究チーム
pp.33-42
発行日 2004年2月15日
Published Date 2004/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100668
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海馬は人間では陳述記憶,特にエピソード記憶,個人的に体験された出来事の記憶の座と考えられている。しかし,出来事という時間空間的に展開し,また意味づけられた情報がどのような形で脳に表現され蓄えられるのかを神経科学的に解明することは,簡単な問題ではない。一方,齧歯類,特にラットにおいては,空間行動課題における海馬神経細胞に関して,行動レベルでの情報の内容と電気生理的な性質とが併行した研究が展開してきた。海馬は何を計算するのだろうか,そしてそれはどのような表現とアルゴリズムによって行われ,また神経細胞のどのような性質によって実現されるのだろうか。ラット海馬の働きに関するこのような問い掛け,計算論が,人間の脳の理解にも役立つのだろうか。最近のラットに関する実験および理論的な研究の展開をもとに,このような問いについて考察したい。
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