Japanese
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特集 脳の深部を探る
エレクトロポレーション法によるモルヒネ耐性・依存の責任脳部位の決定
Determination of brain locus responsible for morphine tolerance and dependence
植田 弘師
1
,
井上 誠
1
,
久保 慎司
1
Hiroshi Ueda
1
,
Makoto Inoue
1
,
Shinji Kubo
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科分子薬理学分野
pp.556-562
発行日 2004年12月15日
Published Date 2004/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100648
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モルヒネは強力な鎮痛効果を有する薬物であるが,慢性的に使用すると鎮痛耐性や依存性の形成が見られる。モルヒネの主な作用点であるμ-オピオイド受容体(MOR)は全身に分布するが,モルヒネ慢性投与に伴う耐性・依存性の形成については脳内のMORが大きく関与していると考えられる。興味深いことに,MOR遺伝子欠損動物ではモルヒネ依存のみならず,カンナビノイド,ニコチン,アルコールなどによる依存形成も著明に抑制されることが報告されている1-6)。このことは,脳内のオピオイド神経系は多くの薬物依存の共通経路として機能している可能性を示している。オピオイド依存のみを取り上げても,脳内の複数の部位にMOR受容体が存在し,それぞれが薬物依存に関して個別の役割を果たしていることが知られている。薬物依存の真の分子基盤を分子のレベルで解明するに先立ち, こうした依存性形成の場が,局在した脳部位に特定されるか,あるいは異なる複数のオピオイド受容体を有する脳部位がいわゆるオピオイド回路を形成し,相互連携の結果成立するのかを明らかにすることから始めなければならない。
われわれは,遺伝子欠損マウスの脳局所に遺伝子をレスキューするという手法を用いて,モルヒネ鎮痛効果および耐性・依存性形成に重要な役割を担う責任脳部位の解析を行っており,本稿ではこの新しい研究手法を紹介する。
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