特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
5.輸送系
Multidrug resistance protein 2(MRP2)
内海 健
1
Takeshi Uchiumi
1
1産業医科大学分子生物学
pp.436-437
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100459
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MRP2/ABCC2/cMOATは染色体10q24に位置し,おもに肝臓の毛細胆管側に発現している。MRP2はATP結合領域(ATP結合カセットATP-binding cassette)ドメインをもつABCトランスポータースーパーファミリーに属し,ATPのエネルギーに依存して様々な物質を膜の内外へ能動輸送すると考えられている。現在まで約48種類のABC蛋白が単離,同定されている。このMRP2/cMOATはMRP1と47%の相同性を示し,疎水性分析の結果から,ヒトでは数回膜を貫通する疎水性のドメインとATP結合領域を含む細胞質ドメインが2回繰り返される形になっている1,2)。
毛細胆管側に発現するMRP2は,肝細胞からビリルビンをはじめとする有機アニオン化合物を胆汁中に排出する機能をもつ。MRP2の欠失したラットにおいては黄疸を示し,有機アニオン化合物の排出活性が低下していた。MRP2は肝臓以外では腎近位尿細管の刷子縁や腸管上皮細胞,胆囊上皮細胞に発現している。脳では血液脳関門,脈絡叢に弱いながらも発現し,異物排泄として機能すると考えられている3)。
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