Japanese
English
特集 構造生物学の現在と今後の展開
構造生物学における弱い分子間力の重要性―CH/π水素結合
The CH/π hydrogen bond: Implications of weak molecular interactions to structural biology
梅沢 洋二
1
,
西尾 元宏
2
Yoji Umezawa
1
,
Motohiro Nishio
2
1微生物化学研究センター
2CHPI研究所
pp.632-638
発行日 2005年12月15日
Published Date 2005/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100423
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Stentは分子生物学の発展を古典的時代,ロマンチック期,ドグマの時代,アカデミック期に分けて考察している1)。この意味で,タンパク質の立体構造解明に始まる構造生物学はアカデミック期のピークを迎えようとしているように見える。タンパク質データバンク(PDB)に原子座標が登録された生体高分子の数は3万を超え,いまも指数関数的に増加している。
生体高分子の構造解明は21世紀の生物学を構築するために必須の足場であるが,これらが関わる分子間力の吟味と作用機構の研究を待ってはじめて本来の意味で「生物学」に値するものになる。ヘモグロビンの結晶解析により構造生物学の創始者となったPerutzは,すぐさま異常ヘモグロビンの研究(分子病理学)に歩を進め2),薬物の作用機序解明3)(分子薬理学),アロステリック制御機構の研究4),分子間相互作用の解析へと進んだ。
Copyright © 2005, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.