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特集 免疫学の最近の動向
重症アトピー性皮膚炎を合併する免疫不全症の原因遺伝子同定
Identification of the molecular origin responsible for the immunodeficiency associated with severe atopic dermatitis
峯岸 克行
1
Yoshiyuki Minegishi
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学
pp.296-301
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100351
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日本におけるアレルギー疾患(花粉症・アトピー性皮膚炎・喘息)の罹患率は30%に及ぶと推定され,その免疫学的背景となるスギやダニなどのアレルゲンに対する感作率も年々増加しており,いまや日本においてアレルギー疾患は国民病の様相を呈している。以前からアレルギー疾患は遺伝することが知られており,ヒトゲノムプロジェクトの進展により,アレルギー疾患関連遺伝子の同定も大きく進展し,100以上の遺伝子がアレルギー疾患と関連することが明らかにされた。しかしながら,すべての遺伝子に関して,ある特定の対象においてはその遺伝子とアレルギー疾患との関連を否定する報告が見られ,多因子疾患の遺伝的解析の方法論的困難さを示している。
そこでわれわれは,単一遺伝子異常により浸透率100%で,重症のアトピー性皮膚炎を発症する免疫不全症に注目し,その原因遺伝子を同定することにより,アトピー性皮膚炎の発症メカニズムを検討した。その結果,この型のアトピー性皮膚炎の発症には,Jak-STATを介したサイトカインシグナル伝達が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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