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特集 ミエリン化の機構とその異常
ニーマン-ピック病におけるミエリン化の異常
Perturbed myelination process in Niemam-Pick disease
瀧北 彰一
1
Sho-ichi Takikita
1
1滋賀医科大学小児科
pp.191-195
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100200
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ニーマン-ピック病C型(NPC)は,コレステロールの細胞小胞内蓄積を特徴とする常染色体劣性遺伝の脂質蓄積病である。主要原因遺伝子NPC1が同定されており,その遺伝子産物NPC1は細胞内コレステロール輸送の重要分子と考えられている1)。ヒトNPC1のマウス相同遺伝子に変異をもつBALB/c npcnihマウスは小児型のNPCと同様の神経病理学的所見を有しており,NPCのモデルマウスとして広く研究に用いられている2)。NPCマウスは進行性の中枢神経障害を示し,生後80日から120日で死亡する。その神経変性のメカニズムは広く研究されているが,神経変性とともに著明なミエリン形成障害がNPCマウスの神経病理学的所見として報告されている3,4)。
中枢神経におけるミエリン化の異常は白質変性症のみならず多様な疾患,病態に関与していることが明らかとなりつつあるが,ミエリン形成のメカニズムにはいまだ不明な部分が多い。多発性硬化症における脱髄後の有髄線維の軸索は回復期には再髄鞘化が認められるが,慢性化した場合は軸索の障害が進み,再髄鞘化が阻害される。再髄鞘化の障害の原因としてオリゴデンドロサイトの枯渇が原因であるか5),あるいは軸索の変性が原因となっているのか6)についてはいまだに議論の余地がある。髄鞘化のメカニズムにおける軸索-オリゴデンドロサイト間相互作用(axo-glial interaction)の役割を明らかにするためには軸索変性をもつ疾患モデルが重要である。
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