トピックス
テロメラーゼ
檜山 桂子
1
,
檜山 英三
2
1広島大学原爆放射線医科学研究所放射線医療開発研究分野
2広島大学自然科学研究支援開発センター
pp.68-70
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103036
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はじめに
染色体末端を保護するテロメアは細胞分裂のたびに短縮し,究極的に短くなると細胞は老化して分裂停止もしくは死滅する.このテロメアを延長する酵素がテロメラーゼで,ヒトでは,無限増殖が可能な胚細胞(生殖系列細胞)と不死化がん細胞では発現しているが,正常体細胞では発現していない(分化した細胞),もしくは発現していても活性が不十分である(幹細胞など)ため分裂寿命は有限となる1).ゆえに,ヒトテロメラーゼ研究は当初もっぱらがん領域で注目されたが,次第に非がん疾患にも重要であることが判明し,2009年のノーベル生理学・医学賞はテロメラーゼ発見者に授与された.本稿では,ヒト疾患におけるテロメラーゼのかかわりと診断意義を概説する.
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