Japanese
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特集 骨の形成と破壊
線維性骨異形成症の分子生物学
Molecular biology of fibrous dysplasia
豊澤 悟
1
Satoru Toyosawa
1
1大阪大学大学院歯学研究科口腔病理学
pp.219-223
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100036
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線維性骨異形成症(fibrous dysplasia:FD)は,未熟な骨形成を伴った線維性結合組織が骨組織を置換して増生する良性病変で,病理学では腫瘍類似病変に分類される。FDの好発部位は図1に示すように,顎骨の発症頻度が最も高く,頭蓋骨や大腿骨がそれに続く1)。そのため,FDの患者は整形外科とともに歯科口腔外科に来院する機会も多く,歯科に属するわれわれにとってもFDは重要な研究対象となる疾患である。
本症はかつて線維性骨炎や腎性骨異栄養症などの概念に包括されていたが,1942年にLichtensteinとJaffeにより新たな骨疾患として分類され,FDと名付けられた2)。1990年代には本症の病因遺伝子(GNAS遺伝子)が明らかになり,その後,cAMPやFos,AP-1,IL-6,FGF-23などの分子がFDの発症や病態に関与していることが次々と明らかになってきた。本稿では,骨の形成と破壊に多彩な臨床症状を伴うFDの発症と病態の分子メカニズムについて紹介したい。
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