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特集 骨の形成と破壊
破骨細胞に骨吸収窩を形成するプロトンポンプV-ATPase
Proton pumping V-ATPase in osteoclast forming resorption lacuna
平 郁子
1
,
中西 真弓
2
,
二井 将光
2
Ikuko Taira
1
,
Mayumi Nakanishi
2
,
Masamitsu Futai
2
1帝京大学薬学部病態生化学
2岩手医科大学薬学部機能生化学
pp.211-218
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100035
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骨組織は形成と吸収の平衡関係にある。骨形成には間葉系細胞に由来する骨芽細胞,骨吸収には造血系の破骨細胞が関与している1)。骨芽細胞が前駆細胞に接触し,破骨細胞への分化が開始される。破骨細胞は骨表面と形質膜との間に骨吸収のための環境である骨吸収窩(resorption lacunae)を形成し,プロトンを分泌して骨吸収窩内部を酸性化し,骨基質を分解するための至適な環境を作っている2)。破骨細胞の形質膜において,プロトンポンプの役割を果たしているのがV-ATPase(vacuolar-type ATPase,液胞型ATPase)である3-5)。V-ATPaseは,名称の由来のように植物・酵母などの液胞(vacuole)の酵素として発見された。動物細胞ではリソソーム,エンドソーム,シナプス小胞,メラノソーム,アクロソームなどの多彩なオルガネラに特異的なV-ATPaseが局在している。V-ATPaseが形質膜に局在している例として,破骨細胞,尿細管・介在細胞などが知られている。本稿では,どのようなV-ATPaseがどのような機構によって形質膜に局在しているかを破骨細胞を中心に考えたい。
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