特集 死をみとる1カ月—人生の最期をどう支えるか
【第Ⅰ章 症状緩和の実践】
【コラム】認知症の人が死を迎えるとき—残り1カ月、患者はどういう状態で、われわれはどう支えるのか
吉田 哲彦
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1悠翔会くらしケアクリニック練馬
pp.853
発行日 2026年8月15日
Published Date 2026/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510360080853
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認知症は、物忘れや行動障害が問題となる精神・神経疾患として一般的には理解されており、死に至る疾患との印象は乏しいようである。さらに日本では、認知症患者が死亡した際には、死亡診断書には「肺炎」や「老衰」などと記載されることが多い。しかし、診断時の年齢や性別などにもよるが、認知症の生命予後はおおむね5〜10年であることが繰り返し報告1)されており、同年代の平均余命2)よりは短い。さらに近年、国際的な定義に基づいて日本の死因を解析すると、日本人の死因の第1位は認知症であったとの報告3)がなされており、今後は認知症に対する印象が、死に至る疾患へと変化していくように思われる。
認知症患者の最期は、誤嚥性肺炎がほとんどであることも知られている。認知症病変の広がりと症状進行を理解すれば、これは想像に難くない。認知症は不可逆かつ進行性の神経細胞の脱落と、それによる神経細胞ネットワークの障害をきたす疾患であり、初期はその障害範囲に基づいて物忘れや精神・行動障害が目立つ。そして、神経細胞の脱落が広範囲に及ぶと、環境への反応や発話も乏しくなって寝たきりとなり、認知機能だけでなく運動機能も低下していく。さらに進行すると、食事摂取も困難となり、嚥下能力も低下し、血圧や体温調節機能も破綻する。つまり、障害は自律神経系や恒常性に至り、生命維持機能にも障害が生じ、結果として誤嚥性肺炎や低血圧、悪液質、脱水、低栄養などで死に至る。
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