コーヒーブレイク
残り雪
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.839
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904454
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陽春4月10日すぎ,桜のたよりにつられて家内と数日の東北の旅をした.まず目指した米沢は新潟県の北端の荒川から113号に乗って川沿いに東行した.期待した山桜はまだ見られなかったが,鷹の巣,小国,赤芝峡など景勝の地では雪をかぶった細流の迸るような谷水の激しさが目を見はるほどであった.道路と平行して走るJR米坂線は昔は新潟と仙台を結ぶ最短のローカル線で,幾つもトンネルを抜けながら重畳たる山岳の美を楽しんだのを思い出した.
上杉鷹山の治政で名高い城下町米沢は端正な落ち着きがあった.前に立ち寄った吉亭という料理茶屋で昼餉をしたためた.江戸末期の建造物の部屋の米沢牛山懐料理は甚だ美味であった.ここからスキー場のある天元台までは約1時間くらいの距離で早々と山麓の白布温泉に投宿した.実はここの山の季という旅宿が目的の一つで,一昨年初夏に味わった山菜料理が忘れられなかったのである.そのときは会津の西吾妻スカイバレーから山越えをしたが,今年は開通まで4月一杯かかるということであった.
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