特集 攻めの安全処方術—引き算処方+多面的アプローチ
【総論編】
❷押さえておきたい薬理学のイロハと薬剤効果の多因子性
青島 周一
1
1医療法人社団徳仁会 中野病院
キーワード:
受容体原理
,
還元主義
,
プラセボ効果
,
薬剤効果の多因子性
Keyword:
受容体原理
,
還元主義
,
プラセボ効果
,
薬剤効果の多因子性
pp.1120-1124
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350101120
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薬理学は受容体原理の確立により、薬の作用を分子レベルで理解する科学として発展しました。しかし、実際の臨床現場では、薬理学的な理論だけでは説明しきれない複雑な薬剤効果に直面することとなります。いくつかの臨床研究の結果が示唆していることは、薬剤効果に占めるプラセボ効果の割合が決して小さくないことであり、単純な因果メカニズムのみでは、患者が経験する薬効感の全容を捉えきることが難しいということです。
本稿では、薬理学の基礎的な概念を整理したうえで、薬剤効果を科学理論で記述することの限界について論じます。また、薬理学的な理論の限界を乗り越え、「攻めの安全処方術」を的確に実施するための視座として、薬剤効果の多因子性をご紹介したいと思います。

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