特集 画像検査との“上手な”つきあい方—知っておきたい画像検査・画像診断のアレコレ
【画像検査と上手につきあうヒント】
❻予防医療における画像検査のエビデンス
中島 浩一
1,2
1やまと診療所
2安房地域医療センター 総合診療科
キーワード:
検診
,
胸部X線
,
低線量CT
,
胃X線バリウム検査
,
マンモグラフィ
Keyword:
検診
,
胸部X線
,
低線量CT
,
胃X線バリウム検査
,
マンモグラフィ
pp.1064-1066
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350091064
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●胸部X線検査
胸部X線検査は、日本では肺癌・結核対策として40歳以上に年1回推奨されている。全国労働衛生団体連合会の報告では、定期健診における胸部X線検査(一次検査)の有所見率は6.51%、要精検率は1.19%であり、肺野の異常が半数以上だが、胸膜や縦隔、心臓、大動脈の異常所見も評価されている1)。
2025年4月、国立がん研究センターは2006年版以来19年ぶりの改訂となる『有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン2025年度版』(以下、2025年度版肺癌検診ガイドライン)2)を公開し、胸部X線検査は肺癌検診として喫煙状況にかかわらず推奨グレードA(対象年齢は40〜79歳、検診間隔は1年に1回)とした。また、重喫煙者に対する胸部X線と喀痰細胞診併用法は死亡率減少効果の上乗せを示す十分な科学的根拠はなく、推奨グレードDとし、検診方法としては外されるべきとした。一方で、米国予防医学専門委員会(United States Preventive Services Task Force:USPSTF)は肺癌スクリーニングとして胸部X線は推奨していない(Grade D)。

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