特集 ウォーター・ウォーズ—カラダの中の“水”と病気
【疾患別各論〜レアな疾患群】
❺羊水塞栓症
篠根 早苗
1
1岐阜県立多治見病院 産婦人科
キーワード:
羊水塞栓症
,
播種性血管内凝固
,
DIC
,
体外式膜型人工肺
,
ECMO
,
母体救命
Keyword:
羊水塞栓症
,
播種性血管内凝固
,
DIC
,
体外式膜型人工肺
,
ECMO
,
母体救命
pp.514-515
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350050514
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CASE 43歳、女性
既往歴:特記すべき事項なし。
妊娠歴:2経妊1経産(今回妊娠を含む)
現病歴:妊娠36週時に妊娠高血圧症候群のため、入院後分娩誘発開始。
妊娠37週時、誘発剤使用中に突然の意識障害(JCS Ⅲ-300)、胎児心音低下を認め、全身麻酔下にて超緊急帝王切開施行。術中に徐脈となり、蘇生処置後に体外式膜型人工肺(ECMO)を導入した。全身検索の結果、臨床的羊水塞栓症と診断。全身管理を行うも播種性血管内凝固(DIC)が持続し、腹腔内留置ドレーンより400〜500mL/時の血性排液が持続したため、大量輸血を施行しつつC1インヒビターを投与したところ、ようやくドレーンの排液が減少し、DICの改善を認めた。使用した輸血量は合計赤血球濃厚液40単位、新鮮凍結血漿54単位、濃厚血小板65単位であった。その後は徐々に全身状態が安定し、術後15日目に抜管、術後54日目に独歩退院となった。羊水塞栓症血清マーカーはC1インヒビター活性31%(基準値42%以上)と低下を認めた。
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