❺ワクチン接種率を上げるには—ワクチンの接種率を上げるにはどうしたらよいでしょう？

◦予防接種に関する役割分担

　わが国では厚生労働省が予防接種の接種率を上げるための政策を掲げ、さまざまな役割を決めている^1）。まず、国の役割として定期予防接種の対象疾患や接種対象者、接種回数および接種方法を分科会などの意見を基に決定している。さらに予防接種の有効性および安全性の向上を図るための調査と研究も同時に行い、副反応の報告制度および健康障害の救済も担っている。都道府県の役割として、医師会や関係団体、国との連絡調整が挙げられている。たとえば、予防接種にかかわる医療従事者などの研修、予防接種を担う医療機関の整備および支援を行い、ワクチンを円滑に供給・確保することである。市町村は医師会と連携し、適正かつ効率的な予防接種の実施、健康被害の救済や住民への情報提供を行っている。また報道機関、教育関係者や各関係学会は国民が予防接種による感染症予防の効果、副反応のリスクなどの情報について正しい知識を得られるよう普及啓発に努めている。

　われわれ医療者の役割としては、❶予防接種の実施、❷接種事故の防止、❸ワクチンの有効性および安全性に関する情報提供があり、ワクチンの最新知見の習得に努める必要がある。そのほか、予防接種の有効性の評価、感染症発生動向調査も同時に実施する。