Editorial
ワクチン接種は患者の生活の質を高める重要なツール
宮上 泰樹
1
,
内藤 俊夫
1
1順天堂大学医学部総合診療科学講座
pp.1
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350010001
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正直、私は幼少期ワクチンが嫌でたまりませんでした。インフルエンザのワクチンを打ちに病院に行ったのにワクチンを打つ理由を医師に聞いたり、打つ前に少し(多分少し)駄々をこねたり。その数年後、インフルエンザにかかり、関節痛や筋肉痛がひどくトイレに行くのも一苦労、という経験をしました。これらの経験を反芻すると、患者には「なぜ無症状の時に苦痛を受けに病院に行かなければならないのか」という思いがあり、罹患後を事前に想定することの難しさを感じます。
私が、ワクチンの大切さを感じるまでにはいくつかのストーリーがありました。❶医学生時代、日本脳炎にかかり重症化して麻痺などが残った小児の患者を診た時、❷医師7年目、侵襲性の肺炎球菌感染症で入院した患者を全力で加療したものの助からなかった時、最後に、❸実母が何度も帯状疱疹にかかり、顔面にまで波及したにもかかわらず抗ウイルス薬のみの対応を続けていたところ、同僚に「ワクチン打ってあげないの」と言われてハッとした時です。これらの辛い経験を経て、患者にワクチン接種を勧める意義を感じるようになりました。
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