特集 薬物治療の質向上
Part 1 薬物治療の質を語るうえで知っておきたい知識と実践例
3.米国における臨床薬剤師の業務—医療の複雑化のなかで医師と薬剤師のタスクシェアを考えるために
小崎 彩
1
Aya OZAKI
1
1School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, University of California, Irvine
pp.233-241
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120020233
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高齢化社会が進行する現代において,薬物治療の複雑化に伴い,薬剤師の薬物治療における役割はますます重要性を増している。世界的にも,薬物治療の最適化をはかるために薬剤師が積極的に関与することが求められている。例えば,英国では2026年から新たに登録されるすべての薬剤師に処方権が与えられることが決定しており,薬剤師の教育目標もこれに見合った形にシフトしている。日本においてもタスクシェアの話題が取り上げられており,薬剤師の役割は調剤業務にとどまらず,より高度な薬物治療管理にかかわることが期待されている1)。
本稿では,米国の臨床薬剤師の歴史的背景から現在の業務内容,そして今後の展望に至るまで,包括的に解説する。臨床薬剤師の専門知識と実践がどのようにして医療チームに組み込まれ,患者のアウトカムにどのような影響を与えるのかを明らかにすることで,その役割の重要性と日本での未来の可能性を探っていきたい。また,医師の方々には米国で実践されていることを参考に,日本での薬剤師とのタスクシェアをどのような形にしていくべきか考えるきっかけとし,医師の働き方改革を進めるための一助としていただきたい。

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