連載 現場に技あり!⑥
鉄板に守られた家のなかで―保健婦が清拭から得た情報
萱間 真美
1
,
竹谷 美樹
2
1東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野
2世田谷保健福祉センター
pp.56-61
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900239
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今月のシーン
Pさんは60歳代の男性。自宅のまわりに厚い鉄板を囲い,窓を見えない状態にしている。Pさんは90歳代の実母と2人で生活している。他に別居の兄弟がおり,鉄板を立てはじめた頃に,妹から保健所に「兄は近隣に対する被害妄想があるようだ。実母のことも心配なので,本人を精神科に受診させたい」という相談があった。精神保健相談に来所したPさんは,医師によって精神分裂病であろうと診断された。「治療が必要なので家族から説得するように」と指導されたものの,本人にまったく病識がなく,母や兄も積極的に本人に受診を勧めることもなかったため,次女が中心になって様子を見守ることになった。
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